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建設業許可決算書と確定申告の財務諸表の相違点

建設業許可決算書と確定申告の財務諸表は、どちらも企業の財務状況を示す書類ですが、作成目的や内容にいくつかの相違点があります。

作成目的の相違

建設業許可決算書は、建設業法に基づき、建設業許可の申請や届出を行う際に提出する書類です。建設業許可の審査において、建設業者の経営状況や財務内容を判断するための資料となります。

一方、確定申告の財務諸表は、所得税や法人税などの税金の申告を行う際に提出する書類です。税務当局が企業の収益や費用を把握し、適正な課税を行うための資料となります。

内容の相違

建設業許可決算書は、建設業の収益と費用を明確にするために、確定申告の財務諸表とは異なる内容となっています。

具体的には、以下の点が相違点として挙げられます。

  • 売上高の区分

建設業許可決算書では、売上高を「完成工事高」と「兼業事業売上高」に区分して記載します。完成工事高は、建設業許可の対象となる工事の売上高を意味します。兼業事業売上高は、建設業許可の対象外となる事業の売上高を意味します。

一方、確定申告の財務諸表では、売上高を「事業主の氏名・名称」「事業内容」「売上金額」の3項目で記載するだけです。

  • 原価の区分

建設業許可決算書では、原価を「直接工事費」「経費」「外注費」に区分して記載します。直接工事費は、建設工事に直接かかわる費用を意味します。経費は、建設工事以外の費用を意味します。外注費は、建設工事において外部に委託した費用を意味します。

一方、確定申告の財務諸表では、原価を「売上原価」「販売費及び一般管理費」の2項目で記載するだけです。

  • 利益の区分

建設業許可決算書では、利益を「完成工事利益」と「兼業事業利益」に区分して記載します。完成工事利益は、建設業許可の対象となる工事の利益を意味します。兼業事業利益は、建設業許可の対象外となる事業の利益を意味します。

一方、確定申告の財務諸表では、利益を「営業利益」「経常利益」「税引前当期利益」の3項目で記載するだけです。

作成方法の相違

建設業許可決算書は、確定申告の財務諸表をベースに作成します。しかし、建設業許可決算書の様式は、確定申告の財務諸表の様式とは異なるため、修正や追加の作業が必要となります。

具体的には、以下の点に注意が必要です。

  • 売上高の区分

確定申告の財務諸表の売上高を、建設業許可決算書の「完成工事高」と「兼業事業売上高」に区分する必要があります。

  • 原価の区分

確定申告の財務諸表の原価を、建設業許可決算書の「直接工事費」「経費」「外注費」に区分する必要があります。

  • 利益の区分

確定申告の財務諸表の利益を、建設業許可決算書の「完成工事利益」と「兼業事業利益」に区分する必要があります。

まとめ

建設業許可決算書と確定申告の財務諸表は、どちらも企業の財務状況を示す書類ですが、作成目的や内容にいくつかの相違点があります。

建設業許可決算書は、建設業許可の審査において、建設業者の経営状況や財務内容を判断するための資料となります。そのため、建設業の収益と費用を明確にするために、確定申告の財務諸表とは異なる内容となっています。

建設業許可の申請や届出を行う際には、建設業許可決算書の作成が必要となります。確定申告の財務諸表をベースに作成しますが、建設業許可決算書の様式に沿って修正や追加の作業を行う必要があるため、注意が必要です。


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